整理解雇とはなにか

労働問題

整理解雇は企業が人員の削減を目的に行う解雇のことで、一般的にリストラと呼ばれているものです。
いわゆるクビ切りのことですが、企業の都合で行うことですから、当然ながら実施には要件を満たすことが必要です。
それには例えば本当の人員削減が必要で、そうしなければ経営を立て直したり安定化できないという事実です。

※参考になるブログ記事
整理解雇とは?企業の弁護士がわかりやすく解説

企業側の努力の前提も不可欠

また、クビを切る以外の方法に取り組んでも回避が不可避という、努力の前提も不可欠です。
努力せずに安易に従業員を減らそうとすると、従業員の反発を招くどころか、裁判になって解雇が無効になることもあります。
勿論、リストラの対象に選ばれる被解雇者の選定においても、妥当性や合理性が問われることになります。
勤続年数が長くても欠勤や遅刻が多い、勤務態度に問題があって度々トラブルを起こしている人などが選ばれやすいです。
勤続年数が短くて欠勤も遅刻もないのに被解雇者に選べば、裁判で企業側が負けてしまってもおかしくないです。

選定に問題がなくても周知や説明が不十分だと問題になる

それから選定に問題がなくても、周知や説明が不十分だとやはり問題になります。
具体的には整理解雇の対象に選ばれた事実の通知を始めとして、どのようにして選ばれたか、本人が納得できる説明が欠かせないです。
リストラは懲戒解雇ではありませんから、対象に明確な落ち度がなくても企業の都合でクビを切らざるを得ないことがあります。
厳密にいうと、リストラは会社を立て直す再構築を意味しますから、配置転換も理由に解雇が行われます。
とはいえ、今まで真面目に働いていた人もクビを切られる恐れがあるので、なんの前触れもなく突然解雇となればショックです。

基本的に会社の都合による即時解雇は不可能

基本的に会社の都合による即時解雇は不可能で、30日前には予告しなくてはいけないです。
予告のタイミングが解雇までの30日を切っている場合、企業には日数分の賃金を平均して支払う義務が生じます。
即時解雇が可能なのは例外に該当するケースのみで、雇用形態が日雇いだったり期間限定の雇用の場合です。
それでも、日雇いで1ヶ月以上継続して雇用が行われていたり、2ヶ月以上の雇用期間だと例外に該当しないです。
季節労働者も4ヶ月以上働いていれば即時解雇は不可能なので、労働者は様々な形で守られているといえるでしょう。
試用期間中の人は、雇用期間が14日未満であれば即時解雇可能となっています。

整理解雇はある意味で強硬な手段

整理解雇はある意味で強硬な手段ですから、なるべく他の方法で経営の改善に努めて、クビを切る被解雇者の数を抑えるのが無難です。
固定費は支出を見直せるポイントですし、案外大幅にコストを抑えられる可能性があります。
それと、一度削減に成功すれば効果が持続しますから、まだ見直していないなら固定費の見直しをおすすめします。
無駄というのはどこにでもあるもので、意識的に目を向けなければ気がつきませんが、気がつくことができれば削減できます。

業務の効率化も整理解雇を避ける手段の1つ

業務の効率化も整理解雇を避ける手段の1つで、自動化できる部分を自動化したり、ノンコア業務をアウトソーシングするのも手です。
コンピュータの力を借りるのは現代では当たり前ですし、そういう取り組みの1つ1つがリストラの回避に繋がります。
業務によってはAI支援の活用も有効ですから、大幅にリストラをしなくても済むような、バランスの良い着地点を見つけたいところです。
従業員の立場からすると、予告後に猶予はあるとしても解雇という事実は酷なものです。
それが例え整理解雇だとしても、自分のクビが切られて職を失い収入源がなくなるのは確かです。
このような事態は誰にでも起こり得るので、常日頃から想定して対策しておくことが肝心です。

企業にとってなくてはならない存在を目指したい

被解雇者に選ばれないように、無断欠勤や理由のない遅刻は絶対に避けること、もし意図せずしてしまった場合は非を認めて反省の姿勢を見せるのが良いでしょう。
解雇の選定には感情が挟むこともあるので、上司や同僚と対立を起こさず、むしろ企業にとってなくてはならない存在を目指したいものです。
この人がいないと仕事が回らない、そのような立ち位置に立てるのがベストで、確固たる地位を確立できればリストラが発生しても安心です。
なにより転職できるくらいの実力が身につくので、やはり日頃から努力して人材価値を高めることが大切だといえます。

被解雇者に選ばれて不当と感じて納得できない場合

仮に被解雇者に選ばれてしまい、不当と感じて納得できない場合は、弁護士に相談して裁判も検討することになるでしょう。
過去の判例はいくつもありますから、あまりに一方的で妥当性が確認できないリストラであれば、裁判をして勝てる可能性があると考えられます。
しかし、企業を相手に裁判を起こすのは骨が折れますし、証拠が不十分で準備不足だと勝てるものも勝てなくなります。
感情的に不当だと決めつけていることもあるので、まずは専門家に相談して客観的なアドバイスを受けるのが正解です。

まとめ

企業にとっても従業員にとっても心苦しい解雇は、お互いが納得できる形で結末を迎えられるのが理想ですから、そうなるように努力することが大切です。