リストラとは何か?

労働問題

日本でクビの意味で使われるリストラは、英語で組織の再編を意味するリストラクチャリングを由来とする言葉です。
本来は収益構造を改善する為に、事業の再編を指すもので、いわゆる経営資源の選択と集中全般にあてはまります。
由来の言葉には企業の買収や不採算部門の売却、事業の縮小なども含まれます。
しかし、日本においては人員の削減、つまり解雇の意味で使われることが多いです。

リストラと解雇は厳密には異なる

広義では賃金のカットや減給に配置転換など、必ずしも解雇を必要としないものもあります。
固定費を削減できて業務の効率化を図ることができるものであれば、解雇をしなくても事業、引いては組織の再編に繋がることが分かります。
リストラと解雇は同じ意味で使われることが多いですが、厳密には異なります。
前者は会社の都合で人員を減らす整理の性格が強いですが、一方の後者には普通解雇や懲戒解雇といった分類があります。

解雇の種類

普通解雇

普通解雇は従業員が業務に対する能力が不足していたり、協調性が掛けていて他の従業員に迷惑を掛けたり、業務に支障があると判断された場合に行われるものです。
就業規則の違反も普通解雇に含まれますが、余剰人員を減らす目的でも普通解雇は行われます。

懲戒解雇

懲戒解雇は賞罰において、ペナルティが課せられるタイプの解雇です。
一般的に普通解雇よりも重いペナルティとされており、退職金が支払われないことも珍しくないです。
当然ながら、相応のやらかしがなければ企業は従業員を懲戒解雇できないので、滅多なことではこのタイプの解雇は行われないです。
例えば経歴の詐称や理由なく長期間出社しない無断欠勤、会社の損失を発生させる犯罪行為などが挙げられます。

リストラは整理解雇に近い

改めて確認すると、リストラは整理解雇に近いもので、従業員の能力不足や重大な問題を起こさなくても、経営上の理由で行われることがあります。

ただ、ランダムで解雇を宣告する従業員を選ぶことはできませんから、実際には成果が乏しい、収益を損ねているなどの理由で対象に選ばれます。
とはいえ、厳密な基準といえるものはありませんし、企業によって誰の解雇するかという基準は異なるものです。
現実的に考えると、過去に問題を起こして職場で煙たがられていたり、年収が上がり企業にとって雇用の負担となる、管理職が対象に選ばれやすいと思われます。
ただし20代も例外ではありませんし、経営が極端に悪化して組織の大変革が必要となれば、20代でも解雇の覚悟が必要になるでしょう。

長期的な戦略で将来を見越して人員を整理するケースもある

実は経営が順調な企業でも、長期的な戦略で将来を見越して人員を整理するケースがあります。
組織の若返りを理由に、一定以上の年齢の従業員を一斉に解雇することもあるので、年齢に関係なく誰も油断することはできないです。
年功序列や終身雇用は既に崩壊しているも同然なので、これからは転職を常に考えておく必要がありそうです。
上昇志向に乏しくてキャリアパスを描かず努力もしない人は、今後企業の整理の対象になりやすいと思った方が良いでしょう。

リストラの様々な形

リストラと一口に言っても、退職希望者を募って辞めたり、勧奨されて辞める形もあります。
希望者を募集するやり方は比較的規模の大きい企業に多く、従業員が希望する形にすることで社会の非難を和らげる目的があります。

退職勧奨、整理解雇は中小企業に多いやり方

退職勧奨、整理解雇は中小企業に多いやり方で、前者は企業側から辞めて欲しいという希望を伝えて従業員が同意次第、雇用関係が終了します。
後者は従業員の同意を得ずに解雇できるので、従業員からすれば一方的に感じることになります。
逆にいえば、下手に整理解雇をすれば従業員から不当だと訴えられたり、社会の非難を浴びるリスクが企業にあります。
その為、不当解雇で訴訟を起こされる可能性がなく、万が一訴えられても負けないと確信が持てた場合に、整理解雇に踏み切ることが必要です。
仮にもし解雇が伝えられた場合、従業員はその理由を企業に確認することが大切です。
そして納得できなければ話し合いの場を設けてもらい、自分の考えや希望を伝えるのもポイントです。

交渉や裁判の期間中は収入が減少したり途絶えるケースもある

この間は退職に関する手続きを進めず、納得できるまで話し合いを続けるのが賢明です。
安易に退職手続きを進めてしまったり、退職に同意するかのような言動をすると、後々不利になる恐れがあるので注意しましょう。
会社に残るにしても辞めるにしても、不満が残る形で解決するのは良くないですし、おかしいと感じたら労働審判や裁判で不当を訴えるのが正解です。
といっても、裁判は長期化しやすく企業や職場との関係性が悪くなることが多いので、現実的なのは短期間で解決する労働審判です。
交渉や裁判の期間中は収入が減少したり途絶えることもありますから、失業保険の仮給付申請で何とか生活資金の不足を乗り切りたいところです。

まとめ

リストラされてしまい、不当解雇ではなく妥当な判断だとしたら、早めに次の仕事を探して収入源を確保する必要があります。
クビを切られる形の解雇であっても、失業保険の対象で手当が受け取れますから、失業手当を受け取りながら再就職先を探せます。
職業訓練でスキルを習得する手もありますし、資格の勉強をして再就職先の幅を広げることもできるので、諦める必要は全くないです。