コンプライアンスに関する基本について

企業法務

コンプライアンスは近年耳にすることが多い言葉の1つですが、正確に理解して説明できるかといえば、案外自信がないという人も少なくないと考えられます。
この言葉は、主に企業が法令などの規則を守るいわゆる法令遵守を意味するもので、企業統治のコーポレートガバナンスの基本ともいえます。
また日本語では倫理法令遵守と約されるので、法令遵守に関する倫理と言い換えることができます。

法令の他にも就業規則や企業倫理、社会規範も当てはまる

いずれにしても、コンプライアンス意識の薄い企業は論外ですし、社会的に忌避されてもおかしくないと思われます。
実は法令の他にも、就業規則や企業倫理、社会規範もあてはまります。
就業規則は社内向けのルールですが、業務の流れであったり、就業に関する大事な決まりなので守ることが必要です。
これは社員が守るべきルールなので、一見すると企業は無関係に思われますが、就業規則は企業が作り社員に守らせるルールなので関係性があります。

社会的な信頼を得るのに軽視できない重要なポイント

一方、企業倫理や社会規範は、法令にあてはまるルールではないものの、社会的な信頼を得るのに軽視できない重要なポイントです。
もし企業倫理や社会規範の意識、コンプライアンスが希薄だと、取引先にも消費者にも相手にされなくなるでしょう。
この意識が低い企業は、個人情報の漏洩や各種のハラスメント、社員の不平等などが発生しやすいので注意です。
違反がイコール即違法というわけではありませんが、しかし法に触れるケースもあるので、基本を頭に入れて気を引き締めて守るように努めることが大事です。

知識がないまま企業活動が行われる怖さ

知識がないまま企業活動が行われると、知らない間に法令違反をしてしまったり、社会的な信用を失うことになり得ます。
例えば労働基準法に抵触する企業は、このコンプライアンスの意識が欠けていたり、軽視しているきらいがある傾向で知られています。
企業には他にも、育児休業や男女雇用機会、最低賃金に高年齢者雇用など、守るべき法律がいくつもあります。
法律もそうですが、ノルマを厳しく設定して社員に強要したり、内部にルール違反を防止するシステムがないのも問題です。
近年注目を集めるブラック企業は、社員に対し残業代を支払わない、過労死ラインに触れる労働を求めるなどの法令違反が横行しています。
しかも、心理的に社員を縛ってやめたくてもやめられないようにしたり、脅しまがいのやり方でやめさせないようにする企業も存在します。

コンプライアンスを遵守する上で重要なこと

コンプライアンスを遵守する上で重要なのは、

  • 規則やマニュアルを作って周知徹底すること
  • 研修を実施して理解を深める

などが肝心です。
結局のところ、詳しく知らないから安易に法令を軽視したり、無視して問題を起こすことになるわけです。
それを防ぐにはルールを作成して、守る重要性を教育により身につけさせることが大切だと分かります。
勿論、企業が社員に守らせるだけでなく、同時に企業自信もまた守るように教育を行う必要があります。
似たような言葉にリスクマネジメントがありますが、これは一般常識や社会通念を含む法令遵守のコンプライアンスに対し、その違反を防ぐ管理を意味します。
具体的な内容は企業によりますが、少なくとも法令遵守は絶対ですし、目の前に大きな利益が見えたとしても、それを優先して法律を無視して得ようとするのはNGです。

まとめ

法令遵守と利益のどちらを取るべきかは明白ですし、問われて迷うような企業にはリスクがあるといえるでしょう。
リスクの軽視は企業経営を危険にさらしたり、社員も守れないことになります。
そのような企業が社外からどのように見られるかは、イメージすれば容易に想像がつくはずです。
ところが、世の中には想像できなかったりイメージすることすらしない企業もあるので、昨今頻繁にこの言葉が叫ばれているわけです。