予定納税とは、簡単に言うと税金の前払い制度のことを指します。
5月15日時点で、確定している前年分の予定納税基準額が15万円以上となる方が対象で、その年の所得税の一部を前払いしなければなりません。
予定納税基準額は、5月15日時点で確定している前年分の所得金額や税額から算出され、15万円以上になった方には6月15日までに税務署から通知書が届く仕組みとなっています。
予定納税の制度の特徴
予定納税は、納税者側から見ると税金を分割で支払えるので納税の負担が軽減できますし、徴収者側から見ると税金収納のリスクを軽減できるため、どちらにもメリットがある制度と言えるでしょう。
なお、会社員の方は基本的に確定申告が不要なので、この制度の対象にはなりませんが、副業での所得が20万円を超えていたり、年間の給与が2,000万円を超えていたりした場合は確定申告の義務が発生するので、この制度の対象になる可能性があります。
確定申告は毎年3月15日までに行う必要がありますが、予定納税では確定申告による納税額の3分の2を7月と11月の2回に分けて納めます。
7月1日から7月31日までの第一期に3分の1を、残りの3分の1を11月1日から11月31日の第二期に納付する必要があります。
なお、この制度はあくまで税金の一部を前払いするものなので、納めた税金は次年度の確定申告の際に納税額から控除することが可能です。
納めた金額が、確定申告の際に支払う必要がある金額よりも少ない場合は、不足した分を確定申告時に納付します。
逆に、この制度で税金を納め過ぎた場合でも、還付申告を行うことで、次年度の確定申告時における納税額を上回る分の金額が還付されます。
予定納税の納付方法
また、予定納税の納付方法には、直接納付・振替納付・電子納付の3通りの方法があります。
直接納付は、税務署に納付書を持参した上で現金で納付する方法です。
納税額が30万円以下の場合はコンビニで支払うこともできます。
振替納付は、指定された金融機関の口座から納税金額を振り返る方法です。
電子納付は、e-taxを利用してオンラインで納付する方法です。
直接納付は、口座振替の設定やe-taxの利用手続きを行う必要がないというメリットがありますが、金額によっては税務署まで足を運ばなければいけません。
振替納付は、振替設定に手間がかかるものの自動的に納税することが可能です。
電子納付は、e-taxの利用開始に一定の手間がかかるというデメリットがありますが、パソコンなどを使って自宅で手続きできるというメリットがあります。
このように3種類の納付方法にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、自身に最も合った方法で納付しましょう。
期限内に納税することができなかった場合
ちなみに、期限内に納税することができなかった場合は、延滞税というペナルティーが科せられてしまいます。
余計な支払いが増えてしまうので、税務署からの通知を受け取ったら、事業などでどれだけ忙しいとしても早めに納付しておきましょう。
また、この制度で納める金額は、減額申請を行うことで軽減することが可能です。
例えば、業績が悪化したり廃業したりした結果、その年の6月30日時点での所得税の見積額が基準額よりも少なくなる場合は、減額申請を行うことが可能です。
第二期分の納税については、10月31日時点での見積額次第で減額申請することができます。
条件に当てはまる場合は、所轄の税務署長に減額申請書を提出して、承認されれば減額されます。
申請の受け付け期限は、第一期は7月15日まで、第二期は11月15日までとなっているので、減額を希望する場合は忘れずに申請しましょう。
まとめ
また、減額を申請する際は申請書とともに、支払いが難しいことを客観的に証明できる帳簿などの書類を提出する必要があるので注意が必要です。